パリ同時多発テロ報道に見る日本マスメディアの衰退と個人メディア事業の成長
11月14日、朝目が覚めると、ニュースアプリBBCニュース(
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
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■スポンサーにしか興味のない日本のTV業界の構造スポットCMとタイムCM
TV業界も当然会社である以上利益を出すことを求められる組織です。
この点は、海外のマスメディア、もっというなら普通の会社と全く同じです。
でも問題があるならスポンサーとの関係。
TVの収益は番組の合間などに流れるCM収入になります。
そして実はTVCMには2種類あるんです。タイムCMとスポットCMです。
下の図は2つのCMを比較した図です。
要するにタイムCM=スポンサーの意向が大きく番組に影響。
スポットCM=スポンサーの意向は基本的に関係なし。
次に日本のTVの収益構造を 見てみましょう。(某テレビ局IRより作成)
わあ!タイムCMが過半数近い!
そりゃスポンサーの意向が大きく反映されますね。
なんなら急な番組変更なんか受け入れられるはずもありません。
しかし海外では事情が大きく異なるようです。例えばアメリカには、なんとタイムCMが存在しません。
従って視聴率だけがものを言う。
番組も大きなニュースが入れば変更など当たり前。
そして、スポンサーは番組内容には基本的に不干渉。(勿論アンチスポンサーの番組は厳しいでしょうが)
こうしてメディアの比較的高い中立性と柔軟性が保たれるわけです。
■番組コンテンツの収益化構造の稚拙さ
とはいえ、収益構造がスポンサーに依っている点ではアメリカも日本も同じです。
しかし日本の場合スポンサーとの関係性が等しくないのです。では、コンテンツ販売を実施できれば自社収
益が増加しタイムCM比率を下げれば力関係が改善する見込みがあります。
番組制作と放映が分離していない日本の長所は本来こういうところでしょう。
さて。先程の円グラフでCMの収益の多さは既に見ていただきましたよね?
その中に密かにあった番組販売、、、4% ひくっ。
これは海外に比較したメディアの販売手順や時間の差が大きいでしょう。
①日本のメディアのコンテンツ収益化のSTEP
STEP1.地上波放送
STEP2.ビデオソフト販売・レンタル(数ヵ月後)
STEP3.地上波再放送(数年後)
②アメリカメディアのコンテンツ収益化のSTEP
STEP1. ネットワーク局(あるいはオフネットワーク局)での初回放送
STEP2. 当日深夜CM付でインターネット配信
STEP3. 翌日の正午から、CM抜き有料配信
STEP4. ビデオソフト販売・レンタル
STEP5. シンジケーション市場での販売(地上波独立局、CATV、CS放送)
→シンジケーションとは再放送番組売買の市場みたいなものです。
最早スピード感が全く違いますね。
数ヶ月先にならないとコンテンツが収益化できない現状の日本では過半数を占めるスポンサーの意向に沿わない行動はできないのです。
結果的に視聴率よりもスポンサーの意向を気にするあまり、消費者(視聴者)のニーズを反映させることができなくなってきてるんですねー。
■落ち続ける視聴時間、Youtubeを利用したなど個人メディアの成長
その結果、、、広告費はマイナス・横ばい、インターネットメディアへの広告費の増加。
テレビを見る人の割合の減少。
(参照:nippon.com | 日本情報多言語発信サイト) (参照:ガベージニュース)
まあ当然ですよね。視聴者を無視するTV見てるよりネットサーフィンしてるほうがおもしろいですもん。
■オンラインメディアによるメディアの市場化と個人メディア事業の可能性
その結果、個人メディアが急激に力を持つようになったわけです。
個人メディアとは、有名ブロガー、ユーチューバーの様に多くの視聴者(ファン)を持つメディア・媒体です。
こうした個人ブロガーへの広告出向依頼は年々増加しているようです。
こうなってくると、番組制作会社と独自に提携し、YOUTUBEなどのネットワークを用いた番組配信事業が個
人でも可能になるわけです。電力の自由化などが見られる中、メディアの自由化・個人化も進むでしょう。
日本のメディアもスポンサーに顔色を伺わないで、視聴者の獲得する取り組みをしないと成長する個人メディア事業者に淘汰されちゃいますね。まあそれはそれでいいんだけど。